『フォー・オール・マンカインド』(For All Mankind)は、2019/11公開のAppleTV+オリジナルTVドラマ。全10話。
米ソ対立が続いた60年代。もしも、ソ連の方が先に月面着陸していたら? アポロ計画はどうなっていたか、というフィクションドラマです。
フィクションなんだけど、アポロ計画の登場人物であるフォン・ブラウンとかニール・アームストロングなどが実名になっているし、機材や打ち上げ映像もまんまアポロなので、実話の中にいるような気がしてきてしまう。
じゃあドキュメンタリーかというと、ソ連が先に月面着陸するところから始まるってるわけで、100%フィクションなわけ。
かといって、パラレルワールド的なSF……でも無いんだよなぁ。ってことは、この先ストーリーはいったいぜんたいどう展開していくのか?
という、なんだか不思議なジャンルのTVドラマです。昭和30年(1995)生まれの僕からすると『ALWAYS 三丁目の夕日』に近いか。
カラーテレビの時代
アポロ11号は1969年7月16日に打ち上げられ、人類初の月面着陸は 7月20日 20:17:40(UTC)。と、一昔前のお話で。
ドラマの方も当然ながら当時の雰囲気が満載です。車から衣装、部屋の中の小物にいたるまで、特にアメリカ人なら「懐かし~」というものばかりなんだろうなぁ。
昭和30年(1955)生まれの僕は、当時中学2年。科学好きの少年だったので、アポロのあれこれに関しては詳しかったですよ。今このドラマ見ても、どういうダンドリで月まで行って帰ってくるのか分かっているからストーリーも良く分かる。
まあ、当時の雑誌はアポロのことばかりだったから、あの頃を生きる男の子からしたらこれが普通だと思うけど。NASAが開発した○○ってのがやたらとあって。新しいものが後から後から出てきて、科学技術に夢がありました。
ただ、肝心の月面着陸時は部活で家にいなかった。生でテレビ中継は見て無かったと思う。
オヤジの方はテレビにかじりついていたように記憶します。
我が家のテレビがカラーになったのはこのときだったはず。
よく、1964年の東京五輪でカラーテレビが普及した、って話が出てくるけど、1964年って僕が小学校3年生のときで、カラーテレビがある家なんて希だった。
喫煙の時代
ドラマの方では、当時の風俗……やたらと煙草を吸ってたり、女性の地位向上が叫ばれ始め、でも同性愛には厳しく、おやおやマリファナも一般化し始めてるのか、なんて光景が描かれてます。
日本でも、昔はほんとそこら中で煙草吸ってましたよね。僕も高校生の頃から吸ってた。親は気づいていたと思うけど、怒られたことはない。煙草のCMとか格好良かったしね。
大学卒業時にピタッと止めたんだけど、これは就職せずに一生遊んで暮らそうと心に決め、それが可能か根性試しに禁煙に挑戦したもの。で、あっさり成功。
いまだに煙草は吸わないし、好きなことをやってこれまで生きてまいりました。
ドラマの中での喫煙シーンみると、なんだかその昔が懐かしいです。
時代は巡る
さて、このドラマのテーマはなんだろう。
主演は……誰だ? 主役はアポロ宇宙船かな。
いやまあ、今見ると、打ち上げ時の迫力は凄まじく。ものすごい炎と煙。グレタちゃんなんか卒倒するほどの二酸化炭素を排出してるなあれは。
“飛行機に乗るのは悪” 、という時代になってしまった今からすると、ただただ月に行くということに国力を賭けるって、いったいどういう意味があったのか。どういう時代だったのか。そのあたりがテーマになってます。
タイトルの「For All Mankind」は、アポロ11号の船長ニール・アームストロング(Neil Armstrong)が初めて月面に降り立った時のことば、
“That’s one small step for (a) man, one giant leap for mankind.”
“これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。”
から。
“all” が入っているところが、ちと意味深なのかな。いや、allって言ってるか?
あの時代に多感な少年時代を送った自分としては、とても面白い……というか興味深いドラマでした。
昭和30年(1955)生まれって、そういう世代なんです。
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