ラダーを壊してリタイアした〈HUGO BOSS〉のアレックス・トムソンは、ケープタウンに到着。
リタイアを決めてからケープタウンまでの1,800マイルは、結構キツかったようです。ラダーが片方使えないわけで。完全に使えないわけではないみたいですが。
ラダーのトラブルについては詳しく語っていません。
別の記事で、「捨てたか流れてしまった漁具が当たったのかも」と言ってますが、どのように壊れたのか、写真も無いし。
他の人達の会話からも、艇同士はライバルというより戦友のような関係のもよう。戦っている相手は、 “海” ってことか。
セバスチャン・シモン、リタイア
12月2日 08:20(UTC)。追走集団のトップに立って4番手の位置につけたところで、フォイルにダメージを受けたセバスチャン・シモン(30♂仏)の〈ARKEA PAPREC〉。
ここまでは、12月4日の舵オンラインでお伝えしました。
この記事を書いていた時点では、まだ自力で直してレース続行も考えていたようですが、結局修理は無理ということで正式にリタイアとなりました。若きエースの紹介ページまだ書いてなかった。『Kazi』編集部の森口イチオシの艇だったんですが。
フォイルというより、フォイルを受ける船体側のフォイルケースが逝っており、外側から修理する必要あり。さらにさらに、バルクヘッドやラダーシステムからも浸水しているということで、やっぱり無理、と。
この人もケビン・エスコフィエの〈PRB〉の捜索に加わっているんですよね。それも結構戻ってますから。うーん可哀想。無念だろうなぁ。
一方、同日夜、漂流物にぶつかった〈INITIATIVES-COEUR〉のサマンサ・デイビスは、まだ諦めてはいないもよう。艇速を落として修理場所を求めて北に向け走っています。
こちらはカンティングキールの駆動部が治まるボックスに亀裂が入っているということで、波の穏やかな湾内にでもアンカリングすれば直せるとの判断なのでしょう。
ただ、衝突の衝撃で怪我しているみたいです。肋骨に軽くヒビ入っているかも。
ケープタウンって、どんなところかなと思って地図みたら……なんかのっぺりした海岸線ですね。
そんなにいろんなものが浮かんでいるのか?
子供が成長し手がかからなくなったらからと、夫婦でこのレースに出ているサマンサ・デイビス。夫、ロマン・アタナシオは46歳のフランス人で、こちらは〈Pure-Best Western〉と違う艇で出場……って、夫婦で別々の艇で出ているんですよ。信じられん。こっちはやっと日本でただ1艇の出場にこぎつけているというのに。
で、2日前に〈INITIATIVES-COEUR〉が何かにぶつかったあたりをビクビク(nervously)しながら通過中の〈Pure-Best Western〉。
未確認の浮遊物(unidentified floating objects)は、以前はUFOと書かれていましたが、最近の記事では OFNIs になってます。何の略だ?
前にもどこかで書きましたが、 OFNIs との衝突は避けようがなく、まさに運。
ヴァンデグローブという大きなタイトルが、そんな運で決まってしまって良いのか?
というか、そんなに OFNIs なんて浮いているんでしょうか?
希にある……くらいではぶつかる可能性はこんなに高くないと思うのですが。
南氷洋には、吹きつのる西風によって東流が常在することは想像できます。
風向は吹いてくる方向なので、西から東に吹く風が西風。
海流は流れる方向を言うので、東流といえば、西から東への流れになります。
ここにインド洋からアガラス海流(Agulhas current)が流れ込み、ケープタウンの沖の潮の流れは複雑なようです。
こりゃ確かにエグいです。〈INITIATIVES-COEUR〉が何かにぶつかったのは赤丸のあたり。
南氷洋は遮る陸地がないので、風と同様に流れ込んだゴミもぐるぐる周り続けるのかも。
それにしても、衝突率高いです。
もしかしたら、高速で走るIMOCA60は特有の音波を発し、それが海洋ほ乳類を刺激して、向こうからぶつかってくるなんてこともあるんじゃなかろうか。と、これは僕の勝手な想像ですが。
ヨットで走っていると、イルカが並走してくること、よくありますよね。
器用にバウをくぐり抜けたりして。
あれが、フォイルの奏でる独特の音波に狂って体当たりしてくるなんてことありそうなんだけど。ええ、僕の想像です。
後続艇もセッセと走る
そのヤバイ海域に、後続艇団もさしかかろうというところ。
〈INITIATIVES-COEUR〉が OFNIs と衝突したのは南緯40度くらい。
対して、これからくる後続艇団は、風の変化からAEZギリギリの南緯45度くらいまで南下して通過しそう。良いんじゃないでしょうか。
AEZも、ネット番組『Vendée Live 英語版』では、アイスゾーンと呼んでますね。その方が解りやすい。こちらも以下そうします。
さらに、後続第2艇団もいろいろトラブルはあるようで……。
ミランダ・メロン(51♀英)の〈Campagne de France〉は、カンティングキールの駆動部、油圧ラムからオイルが全部抜けてしまったようで。うまいことエンジンルームの床に全部溜まっており、それを汲み上げて、シールを直したラムに再び入れたもよう。
まあ、エンジンオイルじゃないから、油なら良いのか。
〈Merci〉のセバスティアン・デストルモ(56♂仏/豪)は、風速計のセンサーを直しにマストに登っています。
ヒールさせた方が登りやすいんじゃねーか? とアレックスのマストウォークからヒントを得たか。なんかうまくいったもよう。
センサーの方は、プラグが外れただけだったようですが。
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