新型コロナで右往左往する世界(グローバル)のスポーツ界ですが、フランスはそんなのなんのその。
例年なら7月に開催されていたサイクルロードレースの「ツール・ド・フランス(Le Tour de France)」は8月末から9月の前半にかけて開催時期をずらしながらも堂々開幕。総合ディレクター自身が感染するという事態になっても競技は続行。まんまと3週間に及ぶ大ツアーをやりきりました。
9月には舞台を大西洋に移し、2人乗り外洋レース「ノルマンティー・チャンネルレース(The Normandy Channel Race)」も敢行。こちらは天候の変化をみてコース短縮したものの、レースは完遂しました。
レースの模様は、こちら、日本セーリング連盟のwebサイトに記事を書きました。
日本艇も出ています。
と、前進あるのみのフランススポーツ界ですが、
いよいよ11月8日。世界一周外洋ヨットレース「ヴァンデグローブ(Vendée Globe 2020-2021)」がスタートします。
ショートハンドレースとは
世界一周ヨットレースにもいろいろあり。大きく、
・フルクルーかショートハンドか
・無寄港か帰港型か
に分けられます。
1人乗りをシングルハンド。2人乗りをダブルハンドといい、両方合わせてショートハンドと呼んでいます。3人乗りの外洋レースはあまり聞かないなぁ。
もっと大勢乗るのがフルクルー。
帰港型フルクルーの世界一周レースで有名なのが「ボルボ・オーシャンレース」です。
ボルボ社がスポンサーを降りて、次回からは「ザ・オーシャンレース(The Ocean Race)」とタイトルが変わりましたが、新型コロナの影響で次回開催はいつになるんだっけ?
前回開催時の記事はこちら、
なんたってフルクルーですから、各艇10人近く乗って世界12ヶ国に帰港しながらの世界一周なんて、世界的な感染症のパンデミックには弱そう。というか、対策が大変そう。というか、無理。
対してこちら「ヴァンデグローブ(Vendée Globe 2020-2021)」は、無寄港シングルハンドなんで。スタートしてしまえば、あとは一人でずっと海の上。コロナ対策としては、かなりやりやすいスポーツイベントといえそうです。
無寄港世界一周ってことは
コースは、フランス大西洋岸にあるヴァンデ県レ・サーブル・ドロンヌ。だから “ヴァンデ” グローブ。グローブは世界って意味ですね。
ここから無寄港で世界一周して戻ってくるということは、南極一周レースみたいなものなのですが。
南極大陸の周りは常に風が吹いています。日本でいえば偏西風にあたる風ですが、南半球の偏西風帯には大陸が無く吹きっさらしなので、常に暴風渦巻く海域なんだそうな。
ワタシ行ったことありません。
前回(2016-2017)の航跡トラッカーがまだ残っています。
艇団が南氷洋に到達するのは12月に入ってから。南半球は夏ですが、それでも南極大陸の周りは氷の世界で。特に流れ出る氷山にあたると即遭難です。南下すればするほど、走る距離は短くてすみますが、極めて危険。
そこで、主催者側で進入禁止のゾーンAEZ(Antarctic Exclusion Zone)を設けて安全を図っています。近年は人工衛星で氷山の位置はしっかり把握できるようで、参加艇はこのAEZを信用し、その際を攻めます。もちろん、海の上に線が引いてあるわけじゃないですが、GPSで正確な船位もわかるので。
赤い部分がAEZ(Antarctic Exclusion Zone)。これが結構広くて、それだけ走る距離は長くなるのですが。前回の優勝艇で、74日3時間。『80日間世界一周』の記録はとっくに破られています。
IMOCA60
使用するヨットはIMOCA60という規格のモンスターボートです。
翼が生えてますが、フォイルと申します。
フォイルで水中翼船のように船体を浮かせ同時に波に叩かれにくくするとのことですが、いざ叩かれたときは余計すごい衝撃になりそう。
軽風時、風上航では効果がほとんどないものの、バンデグローブではそういう気象条件はほとんど無いからいいんだそうな。
規格内で自由に設計/建造するボックスルールというクラスで、着順勝負になります。
となると、艇の性能差も大きな見所です。2020年モデルはどんな感じか。
乗り手のドラマ
「ヴァンデグローブ(Vendée Globe 2020-2021)」の前哨戦、「ヴァンデ-北極圏レース(Vendée-Arctique-Les Sables d’Olonne)」が7月に開催されています。
記事はこちら。
本来は、大西洋横断レースを2回、行って/帰ってで、前哨戦とする予定でしたが、COVIT-19で両方とも中止。で、代わりに開催されたのがこちら「ヴァンデ-北極圏レース(Vendée-Arctique-Les Sables d’Olonne)」です。新艇の顔見せとシェークダウン。そしてここですでに人間ドラマが始まってます。
艇の革新的な性能にも興味は湧きますが、勝負の決め手はやっぱり乗り手。これがまた個性派ぞろいで、それは順にご紹介していきましょう。
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