ヴァンデグローブ(VendéeGlobe 2020-2021)参加艇紹介、第何弾だったかわからなくなりました。今回は、この原稿を書いている1月7日時点で女性のトップ、全体の9位にいるイザベル・ヨシュク(Isabelle Joschke)の〈MACSF〉。
ドイツ ミュンヘン生まれの43歳で、母親がフランス人ということでフランスとドイツと両方の国籍を持っているとのこと。Joschkeという苗字は父方のドイツ系のもののもよう。
スイスやフランスで育ち、オーストリアの湖でOPクラスに乗り始めるという、なんかグローバル。というかヨーロッパというのはそういう土地柄ということなのか。
2005年からミニ6.50のサーキットに出始める……ということは、28歳のときですか。
ミニ・トランザットの第1レグで優勝するなど、好成績を挙げスポンサーがつきます。
2016年からClass40へとステップアップ、そしてIMOCAへと、フランスショートハンド外洋系の王道ですね。
で、ヴァンデグローブはこれが初出場。28歳からミニ6.50を始めると、ヴァンデグローブまでたどりつくには43歳になっちゃうということか。いやいや、この競技では40代が最も油がのった年代ということになりますか。プロレスラーみたいな感じ?
艇は、VPLP – Verdierデザインで2007年建造。
進水直後の「VG2008-2009」では、〈Safran〉としてMarc Guillemot(仏)が乗り込み95日3時間で3位。
何度も書いていますが、この年はジャン・ルカムが遭難し、それを救助したビンセント・リュウの〈PRB〉がその救出作業が元でリタイアとなったため、救済の3位。とヤヤコシイ回なのですが……。
〈Safran〉は、その後も大西洋横断レースなどで好成績を挙げますが、「VG2012-2013」もMarc Guillemotが〈Safran〉として出場するも、スタート直後にキールが脱落してリタイア。この年の優勝が〈MACSF〉というのがなんか因縁ぽいですが。
そして前回の「VG2016-2017」では〈Quéguiner – Leucémie Espoir〉としてYann Eliès(仏)が乗って5位になっています。歴戦の強者というか強艇といったらいいか。
その後、〈MACSF〉チームで購入。フォイル艇に改造し、今に至ります。
公式ページでは、マスト高が27mと低くなっていますが、
IMOCAの公式サイトでは規定の29mになってますね。
29mが正しそう。
スポンサーのMACSFは、1935年創業のフランスの保険会社ですが、外洋ヨットレースのスポンサーとしても強豪ですね。高校野球でいえば、東海大相模って感じ。
その東海大相模が「VG2020-2021」に向けて白羽の矢を立てたのが、こちらイザベル・ヨシュクということになります。
スタート以来、先行艇団にしっかりくらいつき、南アフリカ ケープタウン沖で、アネゴ格のサマンサ・デイビーズがリタイアした後も女性トップとしてしっかり先頭艇を追走し続けています。
1月5日、第9回ヴァンデグローブ(2020-2021)としては、女性初のケープホーン通過となりました。
上の動画はケープホーン回航目前の1月4日、カンティングキールの油圧ラムが壊れてキールを傾けることができなくなったとのこと。
バルブキールを傾ける(cant)ことで大きな復原力を得、より大きなセールを展開できるわけですから、キールのカント=エンジンみたいなもの。これができなくなるということは、大きなマイナスです。まあ、センターに固定できてまだ良かったですが。
ジェネカー(小)も破いてしまい、レースは続行するも、上位を狙う走りから、無事にレ・サーブル=ドロンヌまで帰りつくのが目的のモードに切り替わったもよう。
動画の01:30あたりで、「I lost my last wand」と言ってますが、ワンド(wand)とは、マストヘッドの風向風速計センサーを取り付ける台座となる棒のこと。強風でこれが飛んでしまったのか? いやいや、いきなりここで専門用語が出てくるのもナンだなぁ。もしかしたらここのwandは魔法の杖のことを意味するのかな、なんて考えちゃいます。
勝利を目指す “最後の魔法の杖” を失った、という、松任谷由実チックな表現で。
前に書いた、
では、かたせ梨乃なんて書いちゃったけど、もっとポエムな人なのかも。
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