舵オンラインに記事をアップしました。
記事で取りあげた、女性のファーストホームとなったクラリス・クレメール(Clarisse Cremer)。
やはりフィニッシュ後、フランス・メディアでは話題沸騰のもよう。
次世代ショートハンド外洋女子
彼女の打ち立てた87日2時間24分25秒は、これまでのヴァンデグローブでの女性最速記録です。
エレン・マッカーサー(英)が「VG 2000-2001」で2位となったときのタイムが94日4時間25分で、これを抜いたということですね。
ただ、このときの優勝は、ショートハンド外洋レース界にあっては古今亭 志ん朝なみの重鎮であるミッシェル・デジワイオ(Michel Desjoyeaux)の93日3時間で、これが当時の世界記録だったわけで。2位、エレン・マッカーサーの94日4時間というのは男女関係なくすごいんです。
エレン・マッカーサーは1976/7/8生まれですから、このとき25歳ですよ。
その後、2005年に75ftのトリマランに1人乗りで、71日14時間18分33秒の世界記録を達成しています。こちらは男女関係無く世界新記録ですから。桁違いのすごい人です。
で、このエレン・マッカーサーは英国人。後には、今回リタイアになってしまいましたが、サマンサ・デイビーズ(Samantha Davies)もおり……ということで、ショートハンド外洋女子界では英国に一歩譲るフランス、なんて書いちゃったんですが。
今回のクラリス・クレメールの活躍で、新世代はフレンチが巻き返し一歩リード、という感じか。
こりゃ、2024フランス五輪の外洋競技では、フランス代表としてアルメル・ルクレアシュ/クラリス・クレメール組みが出てくると、かなり手強そう
どうしてこんなにすごいのか
それにつけても、ダミアン・セギャン(41歳/男性/フランス)って、すごいな、と。
左手、無いんですよ。
本人、意に返してないようなので、メディアでもほとんど触れられていないけど。
あえて、触れない方が良いのか。
いやいや、やっぱすごいです。考えられないくらいすごいです。
両手があっても、IMOCA60に1人で乗るの、大変だと思うんですよね。
僕は日本人の中では大型艇の経験はある方だと思うのですが、だからこそ言える。無理。あのフネに1人で乗るなんて。
まあ、近場で、一般船舶通航の錯綜する日本沿岸を2晩以上走り続けるなんてほうが大変かもしれず。
小笠原あたりまで一気に走る方がまだなんとかなりそうだけど。
とはいえ、地球一周となると、また話は別で。
いやもう、マストヘッド・ユニット代えてこいとか、一人で、嫌だよなぁ。
登るのは、尺取り虫みたいな道具があって割と楽に登れるみたいなんですが。何かが引っかかって降りられなくなったりなんかしたらどーすんだ?
いや、そこまでいかなくても、登ったあげく「あ、レンチのサイズが違った……」みたいなだけでも泣きたくなりそう。とりあえず一度登って様子見て。必要な部品や工具を用意してまた登り……みたいな。
それを、片手でやちゃうんですよ。この人。
いやいや、揺れるデッキでちょっとふらついて咄嗟にどこか掴む、とか。降ろしたセールを畳んでバックに入れて……ファスナー閉めるだけでも片手だとイライラしそう。両手使っても1人じゃ大変なのに。
それが、ですよ。ノンフォイルの、それもまあ言ってみれば平凡な中古艇で。
すいません、以前書いた彼の紹介記事には、
そして、GROUPE APICILがスポンサーに付き、ジャン・ルカムがテクニカルチームを引き受けてダミヤン・セギャン用に整備された……つまり、ノン・フォイラ-のサラブレットといったらいいのか。
https://worry-journal.com/sail/766/
なんて話を盛ってしまいましたが。この後、かつての優勝艇が続々と入ってくるので。この艇は平凡な中古艇というジャンルに入るかと。
それが6着フィニッシュですよ。5艇による熾烈な優勝争いの……すぐ後ろの6着ですから。
その航跡を追ってみると、なんかこう知的だなあ、と。思いません?
で、フィニッシュで海賊の衣装ですよ。そういや海賊って、片腕片足に眼帯のイメージだなぁ。
これがホントの “シングルハンド” 、なんて冗談を言っても許してくれそうな、余裕があります。ダミアン・セギャン
ほんとにすごい。
コージロー
舵オンラインの方に書いた、15位争いは、面白いことになってます。
残航1,400マイルなので、フィニッシュは2月8日(月)あたりか?
https://www.kazi-online.com/articles/vendeeglobe_42
なんて書いちゃったけど、あの時点(2/5)で残航1600マイルくらいありました。
船足も伸びてないようなので、フィニッシュは10日か?
おっと、後ろから、ピップ・ヘアー:Pip Hare(46歳/女性/イギリス)の〈MEDALLIA〉が迫ってます。
この方、一見、気の良い魚屋のオバチャン風ですが、 “怒号の50度” では、泣きながらラダー交換してましたから。
上架して陸上にあれば、なんてことないラダー交換ですが……いや、それでも1人じゃ大変だけど。
それを海の上で、おまけに走りながら、1人でやるんだから。僕でも泣きたくなる。
というか、「無理」って言って、やらない。
続きはこちらに書きました。
一つ前の記事「〈APIVIA〉トップフィニッシュ 優勝の行方は……」は→こちら
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