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【VG2020】〈HUGO BOSS〉Alex Thomson

ヴァンデグローブ(VendéeGlobe 2020-2021)参加艇紹介。
最初の方の記事、

で、〈Banque Populaire〉のClarisse Cremerに続けて、優勝候補の筆頭として〈HUGO BOSS〉のAlex Thomsonをあっさり紹介してしまったのですが。改めてちゃんと紹介しておきます。

前回の「ヴァンデグローブ 2016-2017」では、トップ艇を最後の最後まで追い上げるものの、惜しくも2位に終わったAlex Thomson(アレックス・トムソン)。これが5回目のヴァンデグローブとなる46歳の英国人です。

壮絶な戦歴

前回の2位は、スターボード側のフォイルを壊したままで走り続けてわずか16時間差の2位ですから。3位以下を大きく引き離しての2位ですから。
さらに遡れば、
「ヴァンデグローブ 2012-2013」 3位 (トップと3日17時間差)
「ヴァンデグローブ 2008-2009」 スタート6日目に船体に亀裂が入ってリタイア
「The Velux 5 Oceans 2006–2007」 第1レグで艇体放棄
「ヴァンデグローブ 2004-2005」 デッキに穴を開け、リタイア
と壮絶な戦歴ですが、その前に、
「Clipper Race 1999-2000」 で、優勝しています。

「Clipper Race」は隔年で開催されるアマチュアのフルクルー帰港型世界一周レースです。
プロのスキッパーとワッチキャプテンの元で、お金を出せば誰でもクルーとして参加できる世界一周レースです。といっても、出発前にトレーニングを4週間、みっちり受けなければならず。航海中は当然ずぶ濡れで操船し、クタクタになって休み。寝たと思ったら起こされて、またずぶ濡れゲホゲホ。と、豪華客船での世界一周という優雅な旅の対局いく、世界一過酷な団体旅行といったらいいか。

Alex Thomsonは、プロセーラーとしてそのスキッパーを務めていたということ。つまり、世界一過酷な添乗員ってことになるか。ある意味、全員プロが乗り組む「ボルボ・オーシャンレース」のスキッパーより大変かも。
1974年生まれですから、当時25歳。最年少の優勝艇スキッパーで、その記録はいまだ破られていないそうな。

1人乗り外洋系の世界を猪のように突っ走ってきた男、というイメージだったんですが、若いときはこのような──シロウト乗せて世界一周レース──なんてこともやってたんですね。

そもそも、英国ヨット界の超大物であるSir Keith Millsが育てた、英国ヨット界の正統的な外洋レーサーみたいですよ。

優勝に向けて、妥協無し

〈HUGO BOSS〉は2019/8/15進水、第9世代の新艇です。
設計は「VPLP – Alex Thomson Racing (led by Pete Hobson)」となっています。VPLPはフランスの大手デザイン事務所ですが、そこにかなり口出ししたってことか。

ここに名前が挙がっている、デザインマネージャーのPete Hobsonは、

1つしか使い道のないものは一切積みたくない。
使い回しができて、尚かつ軽いもの。不要なものは一切積まない。
これはデザイン上の話だけではなく、造船、艤装、積み込み、すべての段階で、だ。

と語っています。

軽量化は、どのチームも徹底しているはずですが、それを知っててさらにこう言ってるわけで。「うちの軽量化への取り組み、ハンパねーから」ってことかと。
食料も67日分しか積まないそうな。これまでのコースレコードは、前回の74日ですからね。

船型とか、フォイルの形状とその考察はさておいて、
なんといっても、完全に閉ざされたコクピットが特徴です。
真っ黒なんで、どこがどうなっているのか解りにくいですが。動画の方がいいか。

Impressionnant test de jauge d'Hugo Boss, l'Imoca d'Alex Thomson

これは規定のテストをしているところ。
キャビンの中はこんな感じ。

ヨットの中とは思えない。たぶん、写真右側が船首方向だと思うのですが、キャビンの入口はどこだ?

キャビンの屋根をコーチルーフ(coachroof)と言い、コクピットへ繋がるコンパニオンウエイ・ハッチから波が打ち込まないようにもうけるフードをドジャー(dodger)、英国ではキャノピー(Canopy)という。第8世代のIMOCA60のコクピットを被う屋根は、 “ハード・ドジャー” で良いんだろうけど。〈HUGO BOSS〉の場合、この部分の屋根は、coachroofでいいのか?

Alex Thomsonは、7月の「Vendée-Arctique レース」には出ていないのですが、インタビューで、「20年間トレーニングを続けてきた」と言ってます。これまでのセーリング活動はすべてこの日のためのトレーニングなのだ、ということか。
とういことで、優勝候補筆頭に挙げてみました。 

そうそう、Alex Thomsonといえば、無茶する動画は載せとかないと、なので。キール・ウォーク、マスト・ウォーク、カイト、3本立てです。

Alex Thomsons all Stunts | Hugo Boss

HUGO BOSSって、ファッションブランドなんですね。缶コーヒーだと思ってた。それで、スーツ着てマストに登っているのか。
参加艇中、最もスーツが似合わない男、ってイメージだったんですが。改めます。

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