なんで抜くのか
奥歯の詰め物が取れてしまったので、久里浜の歯医者に行った。
そこで、「親知らずに虫歯があるので、抜いちゃってもいいかもしれませんねぇ」と軽く言われ、「抜くなら、歯科大で」ということで、紹介状を書いてもらい、横須賀中央にある神奈川歯科大の付属病院に行く。
担当の先生は40歳くらいの男性医師で、合うなり、「どうして抜こうと思ったんですか?」と聞かれた。
ここでそれ、聞くか? と思ったけれど。たしかに、横向きに生えた親知らずは前の歯を押したりして痛みを伴うらしく、痛くてたまらんから抜くってのが普通なんだろう。
が、僕の場合、今は別に痛く無いし。
なんで抜こうと決めたんだっけ?
マレーシアのゴッドハンド
マレーシアに住んでた頃、前歯が欠けて歯医者に行った。そのときにも「親知らずを抜いた方がいい」と言われた。
カミさんが通ってたDr.バラという評判の名医で、インド系。日本のような国民皆保険ではないマレーシアの医療は競争社会だ。腕の良い名医は普通より高い治療費を請求できる。ってことは、無駄な治療をしてお金を稼ぐ必要もない。……ということで、評判の良い医者は信用出来る、と個人的には思ってる。
その名医、ゴットハンドとも呼ばれるDr.バラが、「そのうち抜くことになるであろう」というのだから、そういうことなんだろう。この頃はまだほとんどが歯茎の中にあったみたいで、「この場でささっとやっちゃおう」ということにはならず。「やるなら外科手術になるから、ちょっと様子見よう」と言われてそのままになっていたのだ。
その後、成長し……というか歯茎の方が老化したというか、親知らずも顔を出し、歯ブラシが届かないもんだから、すでにちょこっと虫歯にもなっている、ということで。
思い切って抜歯しよう、となったしだいで……。
神奈川歯科大付属病院
医大の医師は、抜いた方が良い理由、抜き方、リスク、を説明してくれた。分かりやすかった。この説明をするために、まずはこちらから「親知らずを抜いてもらいたい」という意思を表明させたってことなのかも。
Dr.バラもいろいろ喋ってたけど、最初に「腕はすごく良いけど、しゃべり続ける病気なのよね」と紹介された先生で、治療中もずっと話しかけられてた。それが世間話なんだよな。床屋みたいな感じ。床屋と違って、こちらは口を開けたままなので返事もできず、無視してたけど。
本人も「しゃべり続ける病気」ということを認めているようで、年に1度、喋らない修行をするんだそうな。そのときはホワイトボードを手に筆談で治療するらしい。英語が苦手な僕なんかには、そのほうがいいかも。英語字幕でドラマ見るようなもんだろうから。治療中話しかけられないし。
一方、こちら神奈川歯科大の先生はずっと冷静な説明で、こちらもすべてナットクし。同意書にサインして。
「よし、じゃあ、やっちゃおう」「お願いします」という感じで施術開始だ。
いよいよやります
大学病院だけあって、見学の研修医が7~8人、周りを取り囲む。なんだかものものしいが、施術自体は20分ほどで終了。歯茎を切開し、歯をいくつかに割って1片づつ取り除き、最後は縫うという、ただの抜歯とは違う、外科的手術のようなことをしているはずなんだけど。仕事は早い。麻酔が効いているのでまったく痛く無い。なんかガリガリやってるなというだけ。
いやこの先生、日本のゴットハンドかも。
「いやー、全然痛く無かったですよ」と感想を述べると、「えー、痛いのはこれからよ」ですと。
麻酔が切れると我慢できないくらい痛いから、麻酔が切れる前に痛み止めを飲むようにと、化膿止めを2日分。痛み止めを5日分処方された。
確かに、痛み止めを飲まないと痛い。歯をキュイーンと削られる痛みとは違い、ドーンと重い痛み。ドラムで言えばバスドラ。
といっても、翌10月9日からこのwebサイトを造り始めたので、痛み止めさえ飲んでいれば他に集中して作業はできる痛さですね。
痛み止めを5日分も? と思ったけど、まさにそれを飲みきる必要があった。薬の量もちょうど良く、やっぱ大学病院は違うなぁ。と。
1週間後の15日には抜糸。これもちょっと痛かったけど。ドラムで言えば、トムトムか。3本の糸を抜く瞬間だけの痛さで、あとはケロっと回復。次の日にはビールを飲み始め、その頃にはこのwebサイトもだいぶ形が整ってきて。
親知らず1本に代わって、このサイトができたということかも。
後記:
親知らずの抜歯は、久里浜の歯科医院でも歯科大から先生が出張してきて施術できるそうです。ただ出張は月1回か2回くらいとのことで、それを待つより歯科大に行った方がはやいかなと思って。
結局は、設備も良いし、歯科大に行って良かった。
術後、物が食べにくかったり、結構ストレスが溜まるので、まだ体が元気なうちに抜いちゃって良かったと思う。
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