ヴァンデグローブ(VendéeGlobe 2020-2021)参加艇紹介。
前回ご紹介した〈PRB〉のKevin Escoffierがフルクルー系からの「ヴァンデグローブ」初参戦であるのに対し、こちら〈LinkedOut〉のThomas Ruyantは、「Mini6.5」、「Class40」とショートハンド外洋艇の定番クラスで好成績を挙げIMOCA60へ参戦してきた39歳のフランス人。
ショートハンド外洋レーサーとしての王道を駆け上った人と言ってよろしいかと。
Thomasは英語なら “トーマス” だけど、フランス語だと “トマ” と発音するもよう。
トマ・ルイヤン。いや、リュヨンかなぁ。フランスの人名はカナで開くのむずかしいので艇名で呼びましょう。〈LinkedOut〉と。
その艇名になっているスポンサーのLinkedoutとは?
ビジネスに特化したSNSのLinkedInというのは有名みたいで。職探しのお見合いサイトみたいなものらしい。こちら、LinkedOutもそのてのSNSみたいなんだけど。どう違うのか?フランス版のLinkedIn?
ホームレス向けのビジネス特化型SNS……って、ワカランス。
わからんスけど、トマ・ルイヤンかリュヨンか覚えにくいので、ここは艇名で、〈リンクトアウト〉でいきましょう。
初戦はリタイア
前回の「ヴァンデグローブ 2016-2017」では、〈Le Souffle Du Nord Pour Le Projet Imagine〉という2007年進水のやや古い艇での初ヴァンデとなったわけですが、スタート以降10位以内をキープ。優勝を争う先行艇団の最後尾に食らいつくという、中古艇に乗る新人としては好位置につけていました。
それがスタートから44日め、UFO(未確認浮遊物)がぶつかり船体を損傷。リタイヤしています。
特にフォイル(水中翼)を装備し高速化したIMOCA60は、なんらかの漂流物と衝突する可能性も高く──フォイルは水面部分に横に広がっているわけですから──当たれば華奢なフォイルやその付け根に与えるダメージも大きくなるはずで。
UFOとの衝突でリタイアした艇は近年特に多くなっています。
《動画で見ると、すごいダメージですね。これはニュージーランドまで自力で走っただけでもすごい》
マストが折れる “ディスマスト” なんかは、整備や運用の良否もかかわってくるわけで。なんらかの前兆を見逃してしまったとか、悔やまれることにもなるんだろうけど。
対してこちらUFOとの衝突はもうこれは不可抗力なんで。運不運の世界。大金を投じて参戦するチームからしたら、くじ引きみたいなことはやってられないわけで。ちょっとルールでどうにかしないと。
新艇建造
35歳での “初ヴァンデグローブ” を悔しいリタイアで終えたThomas Ruyant。2020-2021に向けてスポンサーを獲得し建造されたのが、最新世代のIMOCA60。その名も〈LinkedOut〉。Verdierデザイン、建造はイタリアのPersico marine。2019年9月3日進水は、今回の参加艇中3番目に新しい。これより後の進水だと準備が間に合わないし。
7月の「Vendée-Arctique レース」は3位に終わったものの、途中何度もトップに立ってました。
2回目のバンデグローブは、優勝を狙うに十分なポジションにいる〈LinkedOut〉です。
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