「ヴァンデグローブ(VendéeGlobe 2020-2021)」は11月8日、フランスの大西洋岸にあるバンデ県、レ・サーブル=ドロンヌをスタートしました。
無人ながら厳かに
濃い霧に包まれた朝から、スタートのセレモニーは始まります。
本来は大勢の観客でごった返すところでしょうが、今回は新型コロナウイルス(COVID-19)の再感染拡大を受けてフランス全土でのロックダウン措置がとられ、ヴァンデグローブ・ビレッジも10月30日(金)から封鎖されています。
それでも、近所のアパートの窓から手を振る人達にむけて、手を振り返す参加艇スキッパー達。
その様子は、YouTube動画で完全中継。
明け方前からライブ配信ですよ。最初、薄暗いので「あれ?いったいこれは?」と悩みましたが、スタートは現地時間の13:02。33艇の出場艇スキッパーが一人一人桟橋を降りヨットに向かい出港していくわけで、暗い内から始めないと間に合わないのか。
これを完全中継しているのもすごい。フランス語バージョンと英語バージョンがあります。
3時間45分の長尺番組が一度終わって、日本時間の20:30から、スタート編が始まりました。
スタート30分前ってことになります。我が家では居間のテレビで見るべく20:00くらいから飲み食い始め。よーし、始まったぞぅ。画質は文句なし。
そうねぇ、紅白歌合戦を見ながら飲むって感じ? いや箱根駅伝か。
眠いっす
そしていよいよスタートか、いえい! いえい!
……というところでスタート延期、20分。
晴れてはいるんだけど、低い位置に雲があって、海上は霧で視界が悪いもよう。
さらに20分のスタート延期。
その頃には、こちらはもうすっかりお酒でできあがってしまっておりまして。
ところが、同時開催のバーチャル・ヴァンデグローブ(eSports、つまりPCゲーム)は定刻通りスタート。
うちのカミさんはこっちをやっているので、横で「ちょっとオトシめで……」とか悩んでます。なんでも3,000円出してヨットを整備したんだそうな。船底もしっかり磨いたもよう。
リアル・レースの方は、さらに20分延期。カミさんは横で「TWAってなんだっけ?」とか聞いてくるし。
かなりお酒が進み、ウトウトしていたら、「そろそろスタートよ」とカミさんに起こされた。あやうく見逃すところだった。
結局スタートしたのは、現地時間14:20。日本時間の22:20のことであります。眠いぞ。
いきなりのライン・オーバー
ヨットレースのスタートは、決められたライン(見通し線)を、参加艇側で時間に合わせて切っていきます。ヨットは止まっていられないので。ラインまでの距離と艇速から到達時間を予測しつつ、タイミングを謀ってスタートラインに向かいます。
もちろんスタート号砲の前で出たらダメ。フライング。ヨットレースでは、「over early」とか、スタートし直すように無線で呼び戻されることからリコール(recall)とも呼ばれます。スタート失敗。
で、Louis Burtonの〈Bureau Vallee〉がリコール。スタジオでは「キワドイですが……確認してみます」みたいなことを言ってますが、圧倒的に出てました。
上の動画でいえば、1:59:58あたり。
通常は、早すぎるスタートをすると、戻ってスタートし直さないと失格(スタートしたことにならない)なのですが、60フィートの艇を1人で操るこのレースでは、競っている艇団から抜けて引き返す動きは他艇との衝突につながり危険なので、5時間のペナルティーが課されてそのまま走ることになっています。
と、『帆走指示書』の【7.5】にあります。
その他のペナルティーも同様ですが、スタートのペナルティーは、
「北緯38°40’000Nに解消せよ」
となっています。5時間のペナルティーはキツイなぁ。
短距離のヨットレースでは、良い位置からのジャストスタートで他艇より頭一つ前に出ることに大きなメリットがあるのですが、「ヴァンデグローブ」はこの先まだ24,296マイルもありますから、3ヶ月近く走り続けるわけですから、ここで頭一つ前に出るべくジャストスタートを切ることにたいしたメリットはありません。ペナルティーをくらうリスクのみ。
他の艇は確実にスタートラインを切っています。
カメラワークが悪くて、そこらの展開はよくわかりませんが。
スタート後は、10ノットから13ノットの南風を横から受けて、各艇良い走り。霧ははれ、晴れ渡った良い天気。……になるようにスタートを遅らせていたんでしょうけど。生中継も、カメラワークこそ悪いのですが、このダラダラした展開にずっとしゃべり続けていた解説陣はすごいなと思いました。
ビスケー湾を航く
1晩開けて、レーストラッカーはこちら
各艇の色分けが3色になって、とても見やすくなりました。
この原稿を書いている(11/9 15:00JST)時点では、
風が前に回って、先行艇団は右海面に伸ばしています。振れきったところでタックとみた。
トラッカー画面での順位表示は、より南にいる後続艇団が先頭にたっているように表示されますが、ここは暫定トップはNicolas Troussel(46♂仏)の〈CORUM L’EPARGNE〉とみるべき。
こちら、前の記事で、「2020年5月15日進水。さすがに新しすぎ。」なんて書いちゃった艇です。すいません。明日、艇紹介記事アップします。
それを追うのが、2番目に新しい艇、〈ロクシタン〉。
新艇、恐るべし。
日本の白石康次郎は、14番手です。
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