ヴァンデグローブ(VendéeGlobe 2020-2021)参加艇紹介。
今回出場の中で最も新しい、つまり最も遅く進水したのがこちら、ニコラス・トルセル(Nicolas Troussel)の〈CORUM L’EPARGNE〉になります。
2020年5月15日進水ということで、2020年7月4日にスタートした、「ヴァンデグローブ 2020」の前哨戦「Vendée-Arctique レース」には出ていません。だから良くわからない。
ニコラス・トルセルは46歳のフランス人で、フランスの投資会社CORUM L’EPARGNEが彼をスポンサードし始めたのが2018年から。最初はClass40で。
……といっても、あまり良い成績を残していないんですよね。
「Route du Rhum 2018」(11/4: Saint-Maloスタート)では、スタート6日めにリタイア。
「Transat Jacques Vabre 2019」では、IMOCAの〈CORUM L’EPARGNE〉にJean Le Camと乗って13位。このときの〈CORUM L’EPARGNE〉はBruce Farr設計の2007年モデル艇ですが。
こちら↓に、1995から……ですから20歳くらいからの戦歴が出ているのですが、
華々しい優勝というのはあまり無いです。「Tour de France à la voile」つまりヨットのツール・ド・フランスでずっと上位につけているんでけど、これは外洋レースでは無いみたいだし。
2019年は、「the Open Mach Trophy 」で優勝していますが、この Mach 6.5 というのも小型のキールボートのようで。
コーヨームデジャン設計の最新艇
スポンサーのCORUM L’EPARGNEは2011年設立の投資会社で、古くからヨットレースにスポンサードしている高級腕時計メーカーのCORUMではないもよう。コルム・レパンと読めば良いのか。フランス人が喋っている動画では「コルレパーン」に聞こえます。
艇は、設計が Juan Kouyoumdjian。これも読みが難しいけど、ユアン・コーヨームデジャン。アルゼンチン人のヨットデザイナーで、古くはS&S→ジャーマン・フレーズ→ブルース・ファーときたところに次の世代として現れたレーシングヨットデザイナーです。
2010年の〈HUGO BOSS〉をはじめ、この頃はIMOCAでも数多く設計していたはず。そこにVPLPが台頭してきて、今に至る、と。
そんなタイミングで、ユアン・コーヨームデジャンが描いた第9世代のIMOCAは。
すっきりスマートなスタイル。カラーリングもあるんだろうけど。フォイルも低く平らで。コクピットもコンベンショナル。奇抜なスタイルが多い第9世代の中では地味に見えます。
さて、その走りは……。
快走ビスケー湾
スタートからグングンスピードをつけて前に出た〈CORUM L’EPARGNE〉。このあたりはリーチングのスピード勝負でしょうから、ここでのこの走りは十分に評価されて良かろうかと。ビスケー湾のシューティング・スターって感じ。
「第9世代の中では地味」なんて書いちゃったけど、改めてみるとデッキ形状なんかかなり洗練されてます。低い位置から伸びるフォイルには何やら縦方向にフィンがあるし。いやいや、さすがコーヨームデジャン。
コクピットも、こうして舵を持てちゃうところなんか〈HUGO BOSS〉の真逆をいく革新性と言っていいのかも。
旧来艇でいうところのコンパニオンウエイも、左右2つのドアです。
写真右側が船首方向になります。全体的に前寄りに位置するところは〈HUGO BOSS〉と同じ発想か。無駄を省いた動きやすそうなレイアウトですね。
コメント