1人乗り無寄港世界一周レース「ヴァンデグローブ（VendéeGlobe 2020-2021）」はスタートから7日半が過ぎました。
前回の記事、
の最後に書いたトロピカルストーム。その名もシータ（Theta）と名前がつきました。
11月13日の時点で中心付近の気圧は996hPaと、 “凶悪な” とまではいえないものですが。熱帯低気圧ですから、中心付近は急激に気圧が下がり、ド強風。そのド強風&短い距離を求めて中心部に向けて突っ込んでいくのは優勝候補筆頭のロックスター、アレックス・トンプソン。
いやいや、最年長のジャン・ルカムもこれに続きまずぞ。さらに……。
中心付近は、風が強いだけではなく、風向の変化も急激なので、特に1人乗りのレースボートにはリスクが高いのです。そんなこと、ものともせずに……。
と、なんかすごい勢いなので記録に残しておこう。
果敢でしょ。上図は、スタートから4日と15時間後。現地時間で11月13日の夜中です。
この熱低シータはゆっくり東に移動しているので、このまま突っ込めば低気圧の西側の最も風の強い海域を突き抜けることができるということ。
そして下図は、難なく突っ切ったところ。
11月14日。スタートから5日と19時間後の画像です。
先頭の黒いのが、アレックス・トムソンの〈HUGO BOSS〉。左舷側のすぐ後、白艇がジャン・ルカム〈YES WE CAM!〉。
「あの歳で、あのフネで、すげーな」とアレックスも唸ります。
その後ろの紺/ピンクは、無名の新人ベンジャマン・デュトル（30♂仏）の〈OMIA – WATER FAMILY〉。艇は2007年進水の元〈Spirit of Yukoh〉。……なんか、売り払った艇が活躍するのは、嬉しいような怨めしいような。どんな気持ちなのか？ というか、すごいですよね。ここでこの位置につけているのは。別ページでもう少し詳しく紹介します。
〈HUGO BOSS〉の真後ろの赤/白/水も2008年進水のノンフォイル艇〈APICIL GROUP〉。乗るのはリオ五輪のゴールドメダリスト、ダミアン・セガン。……ってパラリンピックの金メダルです。こちらも、別に詳しく書いてカード化しますが、凄いなぁ、片腕でIMOCA60に乗って、この位置にいるって。ホントスゴイ。
下馬評に揚げていた、〈LinkedOut〉（水/白）、〈RPB〉（オレンジ/黒）、〈APIVIA〉（黄/黒）、サムデイビス（赤/白）の列強艦隊も、しっかりというか順当に上位をキープしています。
そして、こちらが最新の位置。
艇団は貿易風帯に突入しています。気温も上がり、穏やかに。いやいや、ここでのスピードが勝負か。気迫を込めて赤道収束帯へむけて突っ走ります。
赤道収束帯、ハッキリみえてますね。無風帯というか……やっぱり南北の貿易風が収束する帯って感じ。
予報では、西側（南米側）はこの後風が吹き続けるような。さあ、どうなるのか。
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