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ドルドラムってナンだっけ?

1月15日の『舵オンライン』に掲載した「なんナンだ、これは・・・な展開/ヴァンデ・グローブ実況」では、

貿易風は赤道まで続いている。その先の赤道収束帯も活動は弱く、つまりそのまま通過できそうで。
コースの選択肢はない。この後8日間は、スターボードタックでの1本コースとなりそうだ。

https://www.kazi-online.com/articles/vendeeglobe_33

なんて書きましたが、確かにこの原稿を書いた時点ではそういう予想だったんです。

が、1月16日(19:52)に公式サイトにアップされた記事「Burton Leads Dalin Across The Equator Into The Doldrums」では、ヴァンデグローブの気象アドバイザーであるクリスチャン・デュマード(Christian Dumard)が、「ドルドラムはこれまでの予想よりも活発になりそう。赤道収束帯はより広い範囲に及ぶであろう」と言ってます。

On the latest models the doldrums are more active than expected. The critical convection zones have grown and become more numerous.

https://www.vendeeglobe.org/en/news/21748/burton-leads-dalin-across-the-equator-into-the-doldrums

赤道無風帯(the Doldrums)は、 “無風帯” というくらいで、完全に風が無い──晴れ渡ったドピーカンというというイメージがありますが、実際はもっと複雑で陰鬱な感じです。

赤道付近は1年中強い太陽エネルギーを受けているので、熱せられた大気は上昇し気圧が下がります。低圧部が帯状に続く赤道低圧帯となります。
ここで上昇した大気は冷えれば雲となり、赤道低圧帯では突然の雨や雷が多いのです。
真夏の夕方に都市部でおきる夕立みたいな感じ。
海沿いでは良い天気なのに、フネから上がってテレビを見ると都内が大雨で地下鉄構内まで水没……なんてニュースが流れていたり。
あれも、都市部で熱せられた空気が上昇し雨雲になるわけで。

赤道低圧帯は、北半球の北東貿易風と南半球の南東貿易風が南北から吹き込み収束する──赤道収束帯(ICTZ:Intertropical Convergence Zone)とも呼ばれます。

というか、「赤道収束帯にDoldrumsが発生する」と言った方が良いのか。
で、Doldrumsを “赤道無風帯” という日本語にしたのがちょいとスベったのかなとも思います。ベターっとした “無風帯” というより、風も天候も安定しない陰鬱な海域です。
赤道陰鬱(いんうつ)帯、としたら良かったのに、って感じ。

現在(1/17:JST)の赤道付近の風向風速は、Windyではこんな感じ。赤い点線は現在の先頭集団(〈APIVIA〉から〈YES WE CAM!〉まで)のだいたいの位置です。

雲の状況はこちら↓

雲が多いでしょ、赤道収束帯。

貿易風帯にも雲が見えますが、これは我々「ポッポ雲」と読んでおりまして、小さな雲が転々としているだけで、上空はほとんど青空。水平線付近ではそれが重なって見える、貿易風の雲です。

で、雨はというと↓こちら。

水色の部分が雨域。赤道収束帯に沿って、ずっと雨。黄色-赤-紫はさらに強い雨域。
やっぱり、赤道陰鬱帯ですな。
ここをこれから、ヴァンデグローブ艇団は進んでいくわけであります。

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